#26 「あなたはぼくが言うことを本当に聞いたことはない」
2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析
Joker (2019) – Therapy Scene BluRay HD Movie Clip
「少し前まで、誰もぼくを見ていないみたいだった。ぼく自身も、自分が存在しているのかわからなかった」
アーサーが自分の根幹にかかわることを話しているのに、それを遮ってソーシャルワーカーが「悪いお知らせがあります」と言います。
アーサーは「あなたは聞いていないよね。ぼくが言うことを本当に聞いたことはない。…ぼくはずっと自分が本当に存在しているのかわからなかった。でも、ぼくは存在している。世間も気づき始めた」と、また、とんでもなく重要なことを話し始めます。
でもソーシャルワーカーは一方的に、予算が打ち切られてこれが最後の面談であることを告げます。彼女も『持たざる者』の一人なので、他人を思いやる余裕はありません。
同じ『持たざる者』側の人同士であっても、お互いに理解し合うことはできないということです。
アーサーはソーシャルワーカーが話を聞いてくれないと言いますが、アーサーだってソーシャルワーカーに対して「それならあなたは職を失うことになるんですか? 大変ですね」と言ったわけじゃないですし。
ここは「現実はアーサーに厳しい」というシーンで、ここからさらにアーサーが追いつめられていきます。
映画「ジョーカー」US版予告【HD】2019年10月4日(金)公開