#50 ジョークを思いついて~エンディング
2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析
You wouldn't get it | Joker 4K clips
アーサーが笑っていて、もうその目は泣いていないようです。
シナリオでは、“向かいに座っている医者は『母親の30歳代くらい』と『最初に出てきたソーシャルワーカー』の両方に似ている感じ”とありますが、よくわかりません。
それから、『ソーシャルワーカーと面談していた部屋とよく似た部屋』となっていますが、これは変更されたようです。
もし最初と同じような人と同じような部屋にいたら、映画を通して何の変化もなかったみたいに見えるので、それこそ全て妄想だったことになってしまいます。
そして、有名な一言「ジョークを思いついて」のくだり。
笑いながら、暗い路地に立つブルース・ウェインと、その脚元に倒れているウェイン夫妻の映像が流れます。アーサーが思い出しているということです。
以前にも書きましたが、これは『ブルース・ウェインがバットマンになって云々』のジョークです。
アーサーはこのシーンで初めて本当に笑ったと監督が言っています。
それは、「もう、やられる一方でいるのはやめた」と決めて、それを実行し、やり切ったと感じたから、「人生、これで充分」と思うことができたのではないかと思います。
人生を奪われていたアーサーが、自分を取り戻した物語が、これで終わりです。
Frank Sinatra - That's Life | Sinatra A Man And His Music Part II
ラストシーンは、真っ白な病院の廊下を一人で歩いていくアーサーの後ろ姿で、足跡が血の赤色をしています。
アーサーの人生の歩みは、心が流血しっぱなしだったということだと思われますが、楽しそうに踊っているし、エンドマークは完全にコメディタッチなので、これ以上重く考えなくていいメッセージかと考えます。
アメリカは死刑が存続している州と廃止されている州があるそうで、このあとアーサーの処遇がどうなるのかわかりませんが、6人、殺していますからハッピーエンドは許されません。
でも、お話はここまで。
ぱちぱちぱち…。
お読みくださいまして、ありがとうございました。
ゆり
おまけ:
監督がインタビューで語ったこと。
PHILLIPS: I mean again, we have people who watch this movie who go, “Oh, I get it.” And by the way, I’m not saying they’re right, they go, “Oh, I get it, he’s not the Joker, he’s the inspiration for the Joker. He’s somebody that inspired the Joker.” And you go, “That’s an interesting way of looking at it.” And they go, “Why?” Well their age difference, and blah blah blah, and I go, “That’s interesting.”
+。:.゜ヽ(´∀`)ノ .:。+゜。
Joker | Top 10 Things You Missed | Warner Bros. Entertainment
P.S. 若かったころ、劇団の養成所にいたことがあります。
シナリオを読んで解釈をする授業のようなものがありましたが、わたしがしゃべり始めると終わらないので、演出家の先生が「そこまで考えなくていいっ!!」とおっしゃっいました。
役をもらうと、自分の解釈による妄想が止まらず、演出家の先生の考えを理解できないので、これは役者には向かないと思いまして養成所卒業と同時にやめることになりました。
ヾ(。・v・。)