2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析

I saw this movie as the main character, Arthur, not as an evil charisma, but as a man raised by a mother with a narcissistic personality disorder. The first half is in Japanese and the second half is in English. ブログ全体の前半が日本語、後半が英語です。日本語のもくじは、各記事の下にあります。

#16 精神の病気をもっていて最悪なことは

2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析

 

 アーサーがダイニングテーブルで、日記を書いています。


The Joker is visited by Sophie Dumond in your apartment "Joker" Part 014

 

「The worst part about having a mental illness is people expect you to behave as if you DON’T.(精神の病気をもっていて最悪なことは、精神の病をもっていないようにふるまうのが当然だとみんなが思っていること)」

 

 これはアーサーが馬鹿ではない証拠の一つです。

 理解できますでしょうか?

 多分、理解できるかどうかは、IQがどうのの問題ではなくて、つらい時につらいと言うことをゆるされた人生だったかどうかにかかっていると思います。

 つらいことを理解されない環境。

 つらいと言うことを許さない社会とでも言いましょうか。

 『精神の病気』を『個人的な問題』に置き換えたら、これは今の日本にも共感する人がたくさんいますよね。

 

 しつこいですが、毒親育ちの苦しさも同じです。

 つらいと言うと非難されます。

 毒親育ちではない方から「どうして毒親育ちは悲しみと怒りが強いの?」と言われますが(汗)、ここはもう、埋められない分断があって、対岸の気持ちはわからないものなんですよね~…。

 説明して理解してもらえるものではないと言いましょうか…。

「どうして苦しいの?」と聞かれたときには、びっくりしました!

 そう聞く人は、アーサーがノートに書いた文の意味はわからないはずです。

 

このメモはIQが低すぎる人に書けるものではないし、アーサーがマレーを殺す直前に喋った鋭い言葉も、彼の本来のIQを表しています。アーサーはIQが低いわけではありません。

「苦しい」と言うことを許さない人々に囲まれて、身動きがとれないだけです。

 

 

 ところで、ここで一つ確認です。

 多分、読んでくださっている方の中には、「医者が精神の病気と診断して薬も出しているのに、精神病じゃないと書くのは、おかしいんじゃないか?」と思う方が大勢いらっしゃることでしょう。

 

 ざっくり言いまして、精神科の診断は主観的というか、本人が「つらい。もう動けない」と訴えたら「じゃ、薬を出してあげるね」という感じで、基本的に患者さんは「つらいから病院に来ている。それに対して薬を出してあげる。薬を出すには、病名をつける必要がある」という感じになります。

 

 べつにいい加減にやっているわけではなくて、それ以外にやりようがないのです。精神の障害が、レントゲンに写るわけではないし、何か検査薬で反応がでるわけでもないんです。

 検査としては、眠れないとか、やる気が出ないとか、そういう項目がいくつもあるアンケートのようなものに答えまして、何個以上あてはまれば危険、とか、そういう感じです。

 もちろんわたしは専門医ではないので、細かいことはわかりませんが、1980年代で貧困層相手のソーシャルワーカーが間に入った精神科受診だったら、「つらいなら、この薬をのみなさい」という感じだったはずです。

 もちろん、不眠とか不安症とかはあったでしょうが、気が狂っているわけではないと理解していただきたかったので書いてみました。

「精神科の薬をのむ=狂っている」というわけではありません。

 元薬剤師の見解でした。

 

 

 

 

     NEXT      もくじ