2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析

I saw this movie as the main character, Arthur, not as an evil charisma, but as a man raised by a mother with a narcissistic personality disorder. The first half is in Japanese and the second half is in English. ブログ全体の前半が日本語、後半が英語です。日本語のもくじは、各記事の下にあります。

#6 アパートの部屋

2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析

マレー・フランクリンのファンだったのは、実はアーサーではなく母親。アーサーは母親を喜ばせたかっただけ

 


Joker (2019) – Arthur Returns Home To Penny / Arthur Gets Off The Bus Scene HD Movie Clip

 

 アーサーが部屋に入ると、母親は郵便が来ていなかったか尋ねます。

 母親がトーマス・ウェインからの手紙を待っていることがここでの会話からわかりますが、これはもちろん後のシーンに続く伏線です。

 

 テレビでは、トーマス・ウェインが市長に立候補した話題のあと、マレー・フランクリンショーが始まり、二人が楽しそうに見始めます。

 


Joker Official Soundtrack | Live! With Murray Franklin Clip | WaterTower

 

 ここからわかることは ― 本当にマレー・フランクリンのファンだったのは、アーサーではなく母親だったということです。

 アーサーは母親に合わせていただけです。

 これは親になるとわからなくなってしまうようですが、子供は『こう言ったら親が喜ぶだろう』と感じたことを自分の望みとして言ってしまいます

 自分が好きなことより親が喜ぶことのほうが子供にとっては大事です。子供にとって、お母さんが喜ぶのが一番の幸せなので。

 

 わたしの例ですが、わたしは小さかったとき、「弟が欲しい」と言うと母親が喜ぶのを知っていたので、よくそう口にしました。『弟とは何なのか』は知りませんでしたが、ただ母親が喜ぶことが嬉しかったです。弟が生まれたあと「お前が欲しいと言ったんでしょ! 面倒を見なさい!」と言われ、だまされた気分がしました。

 

 アーサーは『お母さんが大好きなマレー・フランクリン』を自分も好きになって、自分がコメディアンになったらお母さんが喜ぶからその道を選び、自分が本当は何をしたいのか、何をしたら楽しいのかはわからなくなってしまっています。

 これは毒親育ちではなくても、よくある話ですね。親は「子供がこう言ったから」と子供の意見を聞いたつもりでいますが、本当は子供が気を遣っているだけ。

 これは毒親ではないお母さんでもよくやってしまいます。

 

 アーサーは、自分がマレーを好きだと信じていますが、本当は違います。

 心の底からマレーが好きで、コメディが好きだったら、コメディアンを目指しながら死にたいと思うわけがありません。

 


Joker Journal - Joker - Best Clips

 

ところで、これは映画を見たときには気がつかなかったことですが、アーサーは母親と並んで一つのベッドで毎晩寝ていました。

このシーンで二人がマレー・フランクリンショーを見始めたとき、アーサーはさりげなく母親のベッドに、母親と並んで座りますが、何気ないシーンだったので気がつきませんでした。

よくよく見れば、最初から、母親のベッドには不自然に枕が二つあって、どう見ても彼女一人で寝ているようには見えません。

シナリオを読み、母親が入院したあとのシーンでこれを知って驚きました。

これに関しては、#34で詳しく書きます。

 

 

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