2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析

I saw this movie as the main character, Arthur, not as an evil charisma, but as a man raised by a mother with a narcissistic personality disorder. The first half is in Japanese and the second half is in English. ブログ全体の前半が日本語、後半が英語です。日本語のもくじは、各記事の下にあります。

#34 お母さんのベッドの上

2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析

 


映画「ジョーカー」US版予告【HD】2019年10月4日(金)公開

 

 アーサーが母親と一つのベッドに寝ていたことがわかるシーンです。

 この映画には、アーサーの部屋も、アーサーのベッドも出てこないので、ここまで映画を見てきた人は変だと思っていたはずです。

 シナリオではここはあくまでも『お母さんのアパートのベッドルーム』であり、このアパートにはベッドルームが一つしかありません。

 ここではじめて映し出されたベッドには枕が二つ並んでいて、シナリオではアーサーはこのシーン冒頭、「お母さんのベッドの上で、彼の側に横になっている」「お母さんが寝ていた側に腕を伸ばした」となっています。

 ここまでとは、すごいですね。

 そして『お母さんのベッド』が、これまた妙に乙女チックです。

 

 なぜ、ペニーはアーサーのベッドを用意しなかったのか?

 多分ですが、ペニーはアーサーを自分の一部と考えていたと思われます。

 自己愛性パーソナリティー障害の母親なら、そうします。

 自分の一部だから、自分の思い通りにして当然。そうやって育ててきました。

 独立したベッドを与えることなど発想がありません。

 貧困層向けのアパートといっても、広さは(日本人から見ると)充分あって、ベッドもう一つくらい置けたはずです。

 アーサーは、アーサーのものではなくて自分のもの。

 これは愛ではありません。自覚はありませんが奴隷と考えているのです。

 アパートがいちいち「お母さんのアパート」と書かれているのも同じ理由です。

 

 

 テレビには、上流階級に対するデモが始まったニュースが映し出され、そこにトーマス・ウェインが登場して、先日の発言をごまかして市長に立候補すると言っています。

 マレーが自分を馬鹿にしたテレビを病院で見ていたアーサーの顔と比べると、かなりすっきりしています。まだトーマスを父親だと信じているので、希望がある表情です。

 この間、トーマスの発言に怒っていたのに、お父さんを見る目は優しいアーサーでした。

 

 

 

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