#35 ウェイン・ホール(劇場)に潜入
2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析
JOKER (2019) Escena Arthur Discuta Con Thomas Wayne.
ピエロの仮面をかぶった人たちがトーマス・ウェインに抗議するデモをしています。アーサーはそれを楽しそうに見ながら抜けていきます。
ここは、残念ながら理解不能なシーンです。自分の父親に文句を言っている人たちを見て、なぜ笑顔でいられるのか?
まるで、「このデモは自分が影響を与えて起こったんだぞ」と言うような顔です。そう思っていたのかもしれません。
アーサーは劇場の裏口から入ってボーイの制服を盗み、豪勢なロビーの階段を上がっていきます。
まるで妄想のように都合がいいですが、この後に起こることを考えると、ここは妄想ではないですね。
妄想ではないと示すために、わざわざボーイの制服を着たアーサーが、だらしなくしていると考えられます。妄想のアーサーはいつも顔も服もしゃきっとしていますから、このだらしなさは現実です。
そして、モダンタイムスを見ている観客が、誰一人アーサーに気づきません。
よれよれの制服姿で明らかに怪しいボーイが邪魔なところでふらふら踊っていたら、誰か怒り出しそうなもので、まるで妄想シーンのようですが、「だれ一人、アーサーを気に留めない」という一点において、まさに現実です。
そしてトーマス・ウェインがトイレに立つのを見て、アーサーは追いかけます。