2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析

I saw this movie as the main character, Arthur, not as an evil charisma, but as a man raised by a mother with a narcissistic personality disorder. The first half is in Japanese and the second half is in English. ブログ全体の前半が日本語、後半が英語です。日本語のもくじは、各記事の下にあります。

#14 ソフィーの後をつけていく

2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析

 


Joker 2019 - Following Sophie Scene(QHD)

 

 朝、ソフィーが子供を学校に送り届け、電車に乗って金融街に出勤するのをアーサーが後をつけて見ています。

 シナリオによるとソフィーはゴッサム・ファースト・ナショナル銀行に勤めているらしいです。銀行で何をしているかはわかりませんが、ソフィーは身なりがいいです。

 同じアパートに住んでいても、客観的に見ると高嶺の花っぽい、ということを観客に伝えるシーンです。

 


Joker Official Soundtrack | Following Sophie - Hildur Guðnadóttir | WaterTower

 

 

スコセッシ監督の『タクシー・ドライバー』と『キング・オブ・コメディ』について。

 

 『JOKER』を見るときには、『タクシー・ドライバー』と『キング・オブ・コメディ』を見てからでなければわからない、とYouTubeその他で話題になっていましたが、わたしとしては、まあどうでもいいかなという感想です。

 

『タクシー・ドライバー』のストーリーは、主人公のトラヴィス・ビックルが承認欲求を満たせずにフラストレーションをため込み、八つ当たりで議員を殺そうとして失敗し、勢いでギャングを殺し、それを狂った世間がヒーローとして受け入れる、というものです。

「あなたもトラヴィスになるかもしれない」というのが映画のメッセージのようです。

 人が承認欲求の塊になるのは、親の愛の形が歪んでいたことが原因であることが多いので、たしかに『ジョーカー』とつながりますが、それを言ったら、世の中の不幸の大半が親のせいなので、「あなたが親なら、あなたもトラヴィスを育てあげるかもしれない」と言われていることになります。

 こういう言い方をすると「親のせいにするな。人のせいにするな」と言われますが、親が子供の育て方を知らないのは、自分も親にそう育てられてきたからで、わたしは「人のせいにしている」のではなくて、「みんな、そろそろ目を醒ましましょう」と言いたいだけです。

 正直なところトラヴィスより、自分の2歳の子供を虐待で殺してしまう親たちのほうがずっと怖いです。そういう人たちも、親に同じような扱いを受けてきたと思うと、連鎖を止めなければと思うのですが、これを理解してくれる人に出会ったことがありません。

 みんな、自分はいい親だと思いたいし、自分の親はいいい親だったと信じたいから、しかたないですね。

 

『キング・オブ・コメディ』のストーリーは、主人公のルパート・パプキンがサイコパスで、コメディアンになろうとして一流芸能人をひとかけらの悪気もなくつけまわしたり拉致したりして事件を起こし、それを狂った世間が人気者として受け入れる、というものです。

 こちらは完全に病気ですので、コメントのしようがありません。

 サイコパスは、見たら全力で逃げるのが勝ちです。できる対応はそれしかありません。そう見えなくても、狂っていますから。

 アーサーは狂っていませんしサイコパスでもありません。追い詰められて人を殺しただけです。

「自分を殺すか、相手を殺すか」というところまでいくと、多くの人は自殺をしますが、わたしはアーサーの選択を支持します。

 自分を殺さなければならないほど追い詰められたなら、相手を殺したっていいと思います。人間には自分を守る権利があります。

 

 わたし自身は、親を殺したいと思った時、その親がガンであと命が3日くらいしかなかったことと、親を殺したら自分の人生が台無しになる、「こんなやつにわたしの人生を台無しにさせてたまるか」と思うことができたから、かろうじて思いとどまれただけです。

 それでも、親に死なれたあとは、「もう二度と復讐できない。逃げられた」と思って、1か月泣いて暮らしました。悔しくて悔しくて、その後も20年近く苦しみましたが、抜け出す方法を見つけ出し、今は平和です。

 

 

 

 

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