#8 ロッカールームで銃をもらう
2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析
Randall gives the gun to Arthur | Joker [UltraHD, HDR]
伏線をつめこんだシーン
アーサーのいびつな背中がこちらを向いています。
このいびつさは、アーサーの心の状態を表しているように感じます。
背中の右上部にアザがあります。これは、ラジエーターに縛り付けられていた跡でしょうか。誰が縛り付けたかは…多分トーマス・ウェインの部下ですが・・・・一応不明ということにしても、縛り付けられたことは事実です。
シナリオでは『窮屈なロッカールーム』となっていますが、日本人のわたしから見ると、ここはかなりゆったり広々しています。でもシナリオでは『小さいタレント事務所』だそうです。アーサーの職場です。
同僚のランドルがやってきてアーサーに声をかけます。「襲われたって聞いたよ」
ここ、重要です。ランドルはアーサーが襲われたのを知っていました。この後のシーンで上司は、襲われたことを報告しなかったと言ってアーサーを責めましたが、報告しなくてもみんなが知っていたわけです。
そしてランダルはアーサーに銃を渡して、「あげる」と言います。
アーサーは銃を持つのはいけないと言いますが、ランダルは優しい笑顔でこう言います。
「心配するな。誰にも言わない。礼はいつでもいい。いいな、坊や」
あとでアーサーはランドルに裏切られますので、ここはその時のための伏線です。
小人のゲイリーがやってきて、上司のホイトがアーサーを呼んでいると声をかけます。
ここでランダルはゲイリーにひどいことを言います。『ランダルは酷いやつだからあとで酷いことをするぞ』という意味の伏線です。ランダルはアーサーを裏切って、最後は殺されます。
ランダルの酷いジョークにアーサーも大笑いしたのでゲイリーは傷ついた顔になりますが、アーサーは面白くて笑ったわけではないですね。笑いたくないのに笑ってしまうのって、そのたびに自分も傷つきそうです。