#45 ランダルを殺害
2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析
Joaquin Phoenix dancing on "That's life" of Frank Sinatra! Joker (2019)
髪を緑に染め、顔を白塗りにして、マレー・フランクリン・ショーに行く準備をしています。
お母さんがきれいにしていた浴室に染料をまき散らして、気持ちよさそうですね。これも母親への否定の象徴です。
母親の鏡台から、一枚の写真を発見します。
母親の若いころの写真で、裏には「君の笑顔が好きだ TW」
トーマス・ウェインが母親の恋人だった証拠ですが、これはシナリオにはありません。
アーサーは写真をくしゃっと握りつぶします。
もしこの写真が、母親が真実を話していたことの証拠なら、もう少しびっくりしてもいいはずですが、潰した写真をあっさり捨てます。
母親がどういう事情だったかなどどうでもいいくらいの心境だったのでしょうか。
それとも、観客が、見落としてくれることを狙ってさらっと流したのでしょうか。
ドアベル(ジーっという音の)が鳴って、来客を知ると、ハサミをポケットに入れます。これはシナリオにもあります。
ランドルが来ることを予期していました。
ランドルとゲイリーを歓迎する顔で招き入れます。
ランドルのセリフから今日、市庁舎で集会があることが説明されます。ピエロデモです。
そしてランダルが「事務所に警察が来たから口裏を合わせよう」と言うと、アーサーはランダルをハサミで刺し殺し、ゲイリーは逃がします。
ゲイリーを逃がしたということはアーサーがダークナイトのジョーカーとは別人だとはっきりわかります。
「ゲイリーも殺しておかないと、マレー・フランクリン・ショーに出る前に警察に駆け込まれる」などと考えません。
冷酷ではありませんし、意味なく人殺しをしているわけではありません。
このあとシナリオには、血まみれのランダルのズボンから財布を抜き、現金を取り出して封筒に入れ、「今夜、マレー・フランクリン・ショーに出るから見て」とメモを添えソフィーの部屋の前に置いてくるくだりがありますが、映画ではカットされています。
予告編では一瞬うつっていますから、撮影はされたのでしょう。
でも、たしかに、ないほうがいいですね。
このシーンがあったら、アーサーのキャラクターが破綻します。強盗は悪人がやることですから。
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