2019年公開映画『ジョーカー~JOKER』分析

I saw this movie as the main character, Arthur, not as an evil charisma, but as a man raised by a mother with a narcissistic personality disorder. The first half is in Japanese and the second half is in English. ブログ全体の前半が日本語、後半が英語です。日本語のもくじは、各記事の下にあります。

#0 はじめに その2


Joker Movie | Digital Release Announcement | Warner Bros. Entertainment


 

 

 以下、わたしの考えをシーンごとに書いていきますが、いちいち「わたしの考えでは」と書くのは省略させていただきます。断定的に書いてあることでも、あくまでもわたし一個人の考えにすぎないことはご承知ください。

 

 公開されているシナリオとWOWOWで放送された映画を参考に進めていきます。

 JOKER an origin written by Todd Phillips & Scott Silver

https://pmcdeadline2.files.wordpress.com/2019/12/joker-script-final.pdf

 

 

 まずはシナリオ冒頭に書かれている文章。

 

This story takes place in its own universe. It has no connection to any of the DC films that have come before it.

We see it as a classic Warner Bros. movie. Gritty, intimate and oddly funny, the characters live in the real world and the stakes are personal.

Although it is never mentioned in the film, this story takes place in the past.

Let's call it 1981.

It's a troubled time. The crime rate in Gotham is at record highs. A garbage strike has crippled the city for the past six weeks. And the divide between the "haves" and the "have-nots" is palpable. Dreams are beyond reach, slipping into delusions.

TP/SS

 

訳:

このストーリーは独自の宇宙の中で進行する。これ以前に発表されたDCフィルムのどれとも、何の繋がりもない。

私たちはこれを、伝統的なワーナーブラザース映画と考える。本質的で深く面白く、登場人物たちの生きざまは現実的で、彼らの関心は個人的なことだ。

(つまり、正義のヒーローものではない。バットマンシリーズとして見るなということですね)

 

映画の中で言及されてはいないが、このストーリーは過去の出来事である。

1981年としよう。

騒乱の時代だ。ゴッサムの犯罪率は過去最高を記録。ゴミ収集のストライキは6週間にわたって市の機能を麻痺させている。『持つ者』と『持たざる者』との分断は誰の目にも明らか。手の届かない夢はふと妄想に変わる。

 

 

時代設定が1981年です。

1981年のアメリカは、2020年の今よりずっと格差が激しかったわけですが、その格差や混乱が映画のストーリー展開上、必要でした。

 

 さっそくネタバレですが、アーサーが『持つ者側』の三人の若者を殺したことから、『持たざる者』たちがアーサーを支持してデモを始めますね。

 もちろん、デモの原因はトーマス・ウェインの不用意な一言でしたが、それだけで、あれだけのデモや暴動に発展するのは、2019年の感覚では変です。

 

『不利な立場に立たされている人たち』が『恵まれた人たち』に殺されたら、多くの人が怒ってデモをします。

でも映画の中では逆に、『持つ者』が『持たざる者』に殺されています。

 トーマスの人を馬鹿にした一言だけで、あれだけの暴動が起こったのは、もともとゴッサムシティが緊張下にあったから。そういう設定なんですね。

 

それで映画のストーリーを自然に見せるため、ゴミ収集車のストライキで道路にゴミが山積みになっていることや、人々の心が荒れていることをテレビのアナウンサーに繰り返し喋らせて強調したのです。

 しかも時代は混乱の1981年です。この時代ならしかたないと、見る人は納得します。ストーリーとはこうしたものなので、ご都合主義と呼ぶのはナンセンスです。

 

 この映画について『映画全体がアーサーの妄想』と解釈する人もいるようですが、私はこの意見には賛成しかねます。

 どう見ても、ピエロマスクのデモや暴動は現実として描かれています。

 でなければ、映画の冒頭からゴミ収集車のストライキをアナウンサーに喋らせたり、道路にゴミの山を築いたりという伏線を貼る必要はありませんよね。

 

 

 それでは、次回は映画冒頭のシーンからです。

 少し長くなりますが、どうぞお付き合いくださいませ。

 

 

 

   NEXT      もくじ